『みすず学苑』
学苑長半田晴久先生が産経新聞に連載(毎週木曜日)している記事を紹介いたします。

vol.19 受験に備えて1 2003年7月3日 産経新聞より

 
記事をテキストでも紹介いたします。

受験に備えて1

子供の長所を評価する姿勢が重要

 もうすぐ夏休み。受験生にとっては正念場を迎える。家庭では、受験の問題に直面し、ナーバスになりがちな子供との対応の難しさを実感するときでもあります。

 最近の子供は、概してわがまま、自己中心的でコミュニケーション能力が極端に低い。とりわけ受験を間近に控えた高校生たちにはそうした性向がはっきりと表れてきます。親とて、その対応は難しく、私たちのもとに、その対処法を求める相談が増えるのもこの時期です。

 これから約半年間、受験生と家族の関係は、受験生が主役の生活になるだけに、親兄弟の心労は計り知れないものになります。まず、そのことを覚悟したうえで、どう勉強させるかなど、受験生との接し方を工夫してほしい、と思います。

 対処法は、前に書いたことですが、結論から書けば、そんな彼らに真っ向から向き合うのは得策ではありません。少々時間はかかるかもしれませんが、子供が主体的に変わり、自ら机に向かうようになるのを待つ方がいい結果が得られます。

 といって、ただ待っているだけでは、子供も変わってくれません。変えるには、接し方に工夫も必要です。その際、大切なのは一人前の・大人・として認める態度です。換言すれば、子供の長所をきちんと評価する姿勢こそが何よりも重要だ、と私は考えています。

 たとえば、英語テストで、三〇点の答案用紙を持ち帰った場合、「こんなひどい成績を」と小言の一つもいいたくなるのが、親の感情。そこをグッと抑えて、答案用紙をつぶさに観察するのです。すると必ず一つや二つは努力の跡が見つかります。最初にそこを評価するのです。

 概してわがままいっぱいに育っている最近の高校生は、プライドの高さだけは一人前なので、試験結果だけを非難すると、反発をくらう場合が多い。そのプライドの高さを逆手にとるのも一つの方法です。

 私が運営する「みすず学苑」でも、同じ方法を取り入れています。最初のうちは、叱責や説教は一切タブーです。先生と生徒の間に、少しずつ心が通ってきてから、愛情から発する優しい叱責を受け入れる余地ができるのです。模擬テストで基準以下の点数しか取れなかった生徒にも、「今回は惜しかったな。よし次回がんばろう」と、ただただ激励するだけです。

みすず学苑 半田晴久

産経新聞
2003年7月3日

 

感想

 

 
 

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